昼休みに駆け込んだ蕎麦屋には「もり」と「ざる」があった。その違いは何なのか。ざるに盛った蕎麦は「ざる」だろうが、どんな器に盛っても「もり」は「もり」である。値段も微妙に違うため、恥を忍んで店の人に訊ねると、「ざる」にだけ海苔を乗せているそうだ。『赤兎馬』の原料は鹿児島県産の黄金千貫だが、『紫の赤兎馬』には紫芋も使用している。沖縄土産にもらった紫色の焼き菓子を頭に浮かべ、お猪口で1杯、口に含んだ。赤兎馬らしい、あの香水にして身に纏いたくなる、清廉な芳香は変わらない。そこに加え、こちらの警戒心を緩ませる、親しみやすい甘味が広がる。しかしあの焼き菓子のような重たさはなく、どこまでも透き通った甘さだ。同じ度数ながら、昼間に飲む酒のように油断して、つまみも用意せず、もう一杯、もう一杯、と舌に乗せてしまう。ところで沖縄の焼菓子に使われるのは、「紫芋」ではなく「紅芋」だ。「もり」と「ざる」のように混同されがちだが、こちらはそもそも品種が違う。製菓向きな紅芋に比べ、紫芋は甘味が少ない。しかし紫芋を使用した酒質は何より香りが華やかだ。そのおかげで『紫の赤兎馬』は、カクテルグラスに注いで大人のデザートとして味わいたいほどの、贅沢芋焼酎に仕上がっている。
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