赤坂の路地裏にあるビストロでは、じゃがいものクリームグラタンに白ワイン、牛ホホ肉の煮込みに赤ワインを合わせ、デザートにブランデー風味のアイスクリームで舌を冷やす。そして熱いハーブティーで、こってりとした料理に疲れた鼻と胃を休めるのだ。神保町に古くからある中華レストランでは、店に入るとまず、熱いジャスミン茶が出てくる。古本屋巡りの後には、何よりこの涼やかな花の香りが嬉しく、火照った身体も、買い物で興奮した心も、鼻に残る古本の埃臭さも、すっきり浄化してくれるのだ。赤兎馬の基本である「黄金千貫」に「タマアカネ」という品種の芋を加えた『赤兎馬 玉茜』は、一口含むと、しばし頭が混乱する。赤兎馬なのに、赤兎馬じゃない。芋焼酎なのに、なぜかお茶を連想させる、甘やかな花の香りがする。それは近所の台湾料理の店で飲む、食後の桂花烏龍茶に似ていた。台湾ビールを片手に、八角が香るルーロー飯をかき込んで、非日常に浮かれた鼻が、馴染みの街につながる香り。タマアカネの肉食は、鮮やかなオレンジ色をしているそうだ。通勤の道で見かけた金木犀の花も、確かオレンジ色をしていた。そう思えば、ラベルのオレンジ色が、芋の色にも花の色にも見えてきて、偶然の一致に心が躍る。不思議な酒だ。
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